街並みを描き出す四枚の屋根
円通寺と比叡山に挟まれた閑静な住宅街に建つ木造住宅。
東山魁夷が描いた京洛四季「歳暮る」に触発され、建築であると同時に街並みでもあるような風景を屋根によって描き出すことを目指しました。
軸線をずらしながら敷地に浮かぶ四枚の屋根の下には、様々な大きさの生活空間が雁行して連なっています。
京都産の檜と杉による骨太な軸組が顕(あらわ)しで軒先まで連続し、四枚の屋根と共にこの住まいのアイデンティティを形成しています。
外壁は手業によるモルタル櫛引仕上げとし、窓周りを杉板で縁取ることで、歳月と共に建築と街並み双方の美しさが深まっていくよう意識しました。
「連なる切妻」「深い軒」「ズレた軸線」「雁行配置」「京都府産材」「手業の外壁」「比叡山の借景」など、生活風景の至るところに京の粋を感じられる住まいです。