終の暮らしを緑にひらく
緑豊かな小高い丘の上に建つ住宅。
建主ご夫妻は、子育てを終えたのを機に、住み慣れた家を四半世紀ぶりに建替え、終の住処として老後に備えることを望まれた。
敷地は東側に道路を挟んで公園があり、豊かな緑と落ち着いた雰囲気に恵まれている。
新しい住まいはこの公園に対して開かれており、日々の暮らしに緑の風景を取り込み、家中どこにいてもこの恵まれた環境の豊かさを享受できるような空間配列となっている。
主寝室は2階にあるが、身体の自由が効かなくなった際には和室を使うことで、暮らしの全てを1階で完結できるよう配慮されている。
吹抜けに面した2階の動線からは、1階の暮らしを見下ろすことが出来る。この場所にはオーディオラックが造り付けられており、その一部にベンチが設けられていることで、単なる廊下ではない、居間・寝室に続く「第三の居場所」が生み出されている。
建築好きなご主人のご希望で、ブルーノ・タウトが好んだ青色がテーマカラーとして暮らしを彩っている。
ご夫妻が長年大切に愛用されてきた松本民藝家具を中心に、この地で積み重ねられてきた様々な思い出に囲まれて、隣接する公園や周りの豊かな緑を眺めながら心穏やかに暮らせる終の住処である。