つながる豊かさを建築化する
寒冷な地方都市に建つ子育て家族の住まい。
「平屋的に暮らしたい」という住み手のリクエストを紐解きながら、隣り合う空間同士が機能的な関係性とつながることの豊かさを生み出せるよう、徹底的に考え抜きました。
その結果、庭に面して桂離宮のように雁行(がんこう)する平面形状と、対角線方向に通り抜ける視線によって空間同士が縫い合わされる平面計画が生まれました。
全体は三つのボリュームから構成されていて、三枚の屋根がそれぞれ異なる向きに掛かっています。
背の高いボリュームを中心に東西二枚の平屋根が羽を広げた佇まいは平等院鳳凰堂のようでもあり、平面的な広がりと吹抜けの伸びやかさとを同時に感じられる心地良い空間の質を生み出しています。
隅々にわたって住み手がこだわり抜いた空間と、そこを存分に住みこなす住み手の創意工夫とが、この住まいをより一層魅力的に育てていくことでしょう。
五年後、十年後の変化が楽しみな住まいになりました。